学芸員や研究者は現場に足を運ばなくてはいけない。
そう痛感させられた視察だった。
6月2日に氷見市立博物館御一行が砺波市の文化財施設を視察したときに
「ぜひ氷見市にもお越しを」とありがたいお言葉を頂戴したので、
図太いわれわれは氷見市文化財センターと魚々座(ととざ)にお邪魔することに。
氷見市文化財センターはついこの間まで存在を知らなかったのだが、
氷見の女良(めら)小学校跡にある。旧校舎を利活用した施設なのだ。
25年度に開館したそうだ。
9時に訪れると、博物館のHRS氏と副館長のOHN氏が対応してくださった。
体育館には所せましと船が並べられている。
すべてが和船だ。これまで船の知識がまったくないので、基本的なところから
HRS氏に懇切丁寧に教えてもらった。
海船と川船のちがい、オモキ造りや底の形状によるちがいなど。
富山湾周辺にはドブネ、カンコ、テンマ、テント、サンバなどの和船があり、
今では「なんのこっちゃ」状態だったが、その違いが少しだけ理解できた。
そして体育館いっぱいの船がどれほど貴重な資料なのか、説明を受けて理解できた。
しかし、船を実測する方法をHRS氏に聞くのを忘れてしまった。
校舎には民具や考古資料、書籍などが保管されていた。
民俗資料に関してはウチより多く所蔵している自治体は少ないだろうと思っていたが、
氷見市さんは3階建て校舎と体育館がほぼ満杯になるほど収蔵していて驚いた。
やはり、現場を見てみないとわからない。
先日、氷見の館長さんが「ぜひ魚々座を訪れてください」とおっしゃっていたので
お昼前に魚々座に移動。
ガイドさんがおられたので、いろいろと説明を受けた。
元フィッシャーマンズワーフを再利用した施設だが、
どういう施設なのか一言で説明しにくいというか、
行政の直営施設と思えない自由さが感じられた。
大きな施設の中には、実際に使える定置網が展示され、
お客さんは網にかかる魚の気分を味わえる。
黒板には定置網の説明がわかりやすく書かれ、2分の映像でコンパクトに紹介。
館内には博物館提供の古い写真が飾ってあり、中央のキッチンではワークショップも。
中央の床には氷見市のお宅から寄付された漁具や民具が床に並べられていた。
飲食スペースもあり、ちょうどお昼だったので刺身定食などをいただいた。