ゆっくり目覚めてベッドでまどろみ、ホテルで朝ごはんを掻きこむ。本当は駅前の喫茶店でモーニングを食べることを目論んでいたが、昨日のお酒が少し邪魔をした。
8時に安城のホテルを出発。目指すは岡崎市。そう、徳川家康生誕の地だ。
まず行ったのは六所神社。家康の産土神。あいにく楼門が修復中だったが、石垣が見応え十分。近世城郭の石垣そのもので、算木積みもあれば矢穴もある。積み方は打ち込み接ぎ。
本殿・幣殿・拝殿は徳川家光が築造したもの。極彩色に彩られた建築群を、UEN教授が丁寧に解説してくださった。権現造の屋根形式、金物が立体的になっていて手が込んでいること、懸魚の形などなど。
近年は、安産の神としても有名なようで、何組か祈祷に来られている家族があった。しかし、ここですでに暑い。鳥居の前のコインパーキングに車を止め、皆さんに追いつくため走ったら汗ダクに。
岡崎宿の二十七曲がり
石碑からスタートして、少しだけかつての岡崎宿を辿って歩いた。あまりの暑さに、ほんの少しだけだったけど。宿場町の風情が残るのかと思いきや、歩いた場所が悪かったのか現代的な街並みばかりで、往時を偲べるものは看板や標柱だけだった。
二十七曲がりから岡崎宿西本陣跡をすぎて、いよいよ岡崎城へ。復元された大手門を潜るとすぐにガイドさんが声をかけてきたので、案内してもらうことに。おかげで岡崎城を堪能することができた。
この城は近世城郭というイメージが強かったが、縄張り自体はかなり中世的。主郭周りの堀は深くて湾曲しており、石垣が積まれている。中世城郭を大部分踏襲しつつ、近世的な手法でリニューアルした感じだ。土の堀の法面に石垣が積まれているのが、少し違和感を感じた。
龍城神社を参拝。ガイドさんが巫女さんに声かけした後、全員で二礼二拍手一礼をすると龍が出て来そうな効果音が流れた。茅の輪があったので夏越の大祓の意味でみんなで潜った。今年は高瀬神社でお祓いができなかったので、ちょうどよかった。
家康が征夷大将軍に任じられた時に、発した言葉。
武家の頂点に上り詰めた人物のなんと謙虚な言葉よ。
家康の産湯の井戸
日の本を一代で変えてしまった人物が、ここで生まれたのかと思いを馳せる。水が湧いていたので、手を浸すと清涼感が全身を覆った。
模擬天守の岡崎城は資料館になっていて、ぐるっと一巡りして三河武士のやかた家康館を見学。外に出ると武将隊の演舞が始まった。セリフはテープで流れ、口パクで演技をしていた。これだけ動けばさぞかし暑いことだろう。
伊賀八幡宮
重文の神橋が蓮池に浮かび、背後には同じく重文の随身門が。池の蓮があちこちで咲いていて、絶好の撮影スポットに。六所神社の時と同じく、UEN教授の解説があり、蟇股(かえるまた)が形骸化して飾りとなっていること、唐破風は最高級の格式を表し上下の幅があればあるほど原材料が巨木であることなどを教わった。
随念寺
家康の祖父と叔母を祀る。岡崎では重要な寺のはずだが、観光客らしき人の影は見えず、貸切状態で境内をまわった。芝生と建築のコントラストが美しい。本堂は鶯張りになっていて、歩くとキュッキュと鳴った。
白塗りの見事な土塀が階段状に鐘楼門に続く。まるで映画のセットのような美観。岡崎城はいろんなノイズがあったが、ここは少ない。もしかすると観光的には穴場のようなスポットなのだろうか。
お昼は、ビストロアンソンさんでフレンチを。たまたま検索して入ったお店だが、どれを取っても上品で味わい深いお料理についつい話が弾んで、1時間近くもゆっくりと食事してしまった。トウモロコシのムースもパンもお肉もアイスコーヒーもすべてのクオリティが高かった。そしてトイレのおしゃれ具合が話題に。YSKGWさんはじめ3人だけはデザートも。
滝山寺
本堂は鎌倉時代の檜皮葺屋根。朝から極彩色の建築ばかり見てきたので、目がリセットされる思いがした。しかし駐車場から結構な階段を登ったので、汗が吹き出て止まらない。
滝山東照宮
東照宮なので家康を祀る。拝殿で参拝した後、慶安元年(1648)に建立された重文の銅灯篭を観察。
その後、宝物館に移動し、所狭しと陳列された宝物を見学。住職の想い溢れる解説のおかげで、仏像の理解を深めることができた。他のお客さんも巻き込んで、変幻自在の解説に、皆さん満足気だった。