Quantcast
Channel: 学芸員の小部屋
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1374

オープンデー2017 〜災い転じて福となす!?〜

$
0
0

{056BEE2E-7139-4920-90A9-6E2D5A9A647C}

 

今年も気がつけば7月。夏休みは目の前だ。

ということで、今年も埋蔵文化財センター恒例のオープンデーを開催した。早いもので、今年で3年目を迎える。

 

◇2016年の様子

http://ameblo.jp/nhrdsk/entry-12183487418.html

◇2015年の様子
http://ameblo.jp/nhrdsk/entry-12054489034.html

 

このオープンデーは、小学生を主なターゲットにしていて、古代体験を通して砺波の遺跡に触れてもらったり、夏の思い出を作ってもらったりするのが目的。そして裏の運営コンセプトとしては「がんばらない」。とにかく労力を最小限に抑える。予算をかけない、一般事務職員の動員をかけない、告知の費用・労力をかけないなど。持続可能を目指すにはこれしかない。

 

しかし、思わぬトラブルが。毎年、県埋蔵文化財センターの出前講座を抱き合わせているのだが、開催1週間を切ってドタキャンしてきたのだ。もちろん去年から風を吹かせていたし、今年に入ってから正式に申し込みもしたのに、だ。ここで事態は急変。さて、どうしたものか。一瞬だけ目の前が真っ暗になったが、すぐに「ピンチはチャンス」と開き直った。

 

勾玉作りは20組×3回行ったが、自分が全てを担当。そして強力な助っ人、郷土資料館のWTNB学芸員とYSD学芸員に補助してもらった。

 

 

{E6197217-DAA7-4CF6-BDDC-795302863D93}

 

新メニューのコイン鋳造。

市内出土の北宋銭で作った鋳型に錫を流し込み、古銭のレプリカを作ることができる。熱する作業があるので危険を伴うが、子どもにとって金属を溶かすこと自体が新鮮な驚きのようだった。これからの看板メニューのひとつになりそうだ。

 

 

{ED23591E-A932-4037-8C0F-6B6D714440E5}

 

こちらも新メニューのはた織り体験。

新メンバーのIIDさんが孤軍奮闘。1時間ほどで毛糸のコースターを作ることができるのだけど、さすがに女の子の申し込みが多かった。こちらも定番メニュー化決定だな。小さな子はすぐに飽きてしまい、逆にお母さんが夢中になって織っていた親子もいたそうな。

 

 

{0910FD51-28BA-4C5B-970F-0DB9884BF421}

 

意外にもスタッフが熱くなったのが火起こし。オープン前、センター所長を含めたスタッフで体験してみて四苦八苦。意外に難しいことを身をもって知った。所長には芯の取り替え作業をお願いした。

 

 

{FA0612D4-7B23-4866-B329-122060932815}

 

{3229A448-2CD4-44F3-8395-057E2EC7789E}

 

この日から新しく加入したANDさんがボランティアとして大活躍。若さもあって準備から子どもへの指導から甲冑の着付けに大車輪の活躍だった。曲輪の会のTDさんが目を細めてみていた。こういう若手が入ってくるのは本当に嬉しいし、頼もしい限りだ。

 

 

{C06F8864-2967-47CC-8031-B0B8C88EB4EA}

去年まで自分が着付けをしていたが、今年は増山のNSMRさんに手伝ってもらった。そして今年はANDさんという弟子もできた。好きな甲冑を選ばせるために2領用意しておいたが、結局2つともフル稼働。城郭パズル担当のHMDさんが着付けをかって出てくれて助かった。




◯今年できたこと
・新メニューとしてコイン鋳造はた織りを追加
・去年の城郭クイズを発展させて「とやま城郭パズル」を作成
・県埋蔵文化財センターにお願いしていた勾玉作り火起こしを自主運営
・チラシに勾玉券をつけた。

まあ、今年もなんとかオープンデーを運営することができた。来館人数は550名。去年は400名だったので少しだけ増えたかな。これだけの数ならうちのセンターでは目一杯。所長1名、学芸員2名、センター職員2名、ボランティア10数名(文化財サポーター、曲輪の会、増山住民)でよくこなせたと思う。個人的には新しい学芸員が加わってくれたので、気分的にものすごく負担が軽くなったような気がした。

ボランティアさんもうちのセンター所長も満足そうではあったので、運営側としてもやり甲斐のある行事であるし、来てくれる子どもも楽しそうだったので、よかったと思う。去年と違ってクレームらしいものもあまりなかった。


課題としては、人数を制限するかどうか。

これ以上増えたら確実にパンクしてしまう。でも満足度を高めたい。結局は、ここまで来たら小松市方式でやるしかないのかな〜というのが運営側の実感だ。

 

そうそう、チラシにつけた勾玉券の効果が絶大

夏休み期間限定で勾玉作りができる券をチラシにつけたところ、連日小学生が作りに来てくれてセンターが賑やかしい。おかげで職員はてんてこ舞いで大変だけど、これは嬉しい悲鳴。こういう小さな工夫を積み重ねていきたいと思う。うちみたいな小さなセンターは人員も予算も大きな館とは勝負できないから、こういう小回りのきく、かゆいところに手の届く普及啓発をしないとね⭐️

それと、県埋蔵文化財センターのドタキャンは、結果的には"災い転じて福となす"となったように思う。効率的に少ない人数でさばく方法を考えたり、勾玉作りや火起こしで新しい着想も得られた。これは本当に感謝感謝である。オープンデー3年目にして少しだけ普及啓発の面白さを知れたような気がする。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1374

Trending Articles